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2011.07.21 *Thu

408(2011.7.21)

先週の暑さはなんだったのか、と思うくらい涼しくなりました。ちょうどお盆を過ぎた後の初秋のようです。

あまりもう原発がらみの話は書きたくないのですが、いろんな人と話をしているとだいぶ誤解というかイメージ先行で伝わっているような気がしているので、余計なことかと思いますが、書いておきます。

流通している牛肉から規制値以上のセシウムが検出されたことについて、肉牛に食べさせた稲ワラが原因であることが判明しました。その稲ワラは昨年のもので、原発事故後も田んぼで「保管されていた」ものであったということ。またその稲ワラは、原発から100kmも離れたここ喜多方や宮城県でもかなりの濃度でセシウムに汚染されていたとのこと。

かなり広範囲に放射性物質が拡散したことが分かりますし、今回の事故が深刻であったことの証左でもあります。けれどもこれだけみると、比較的影響が少ないとされてきた福島の会津地方や宮城県でも相当汚染されているとか、ホットスポット的に放射能の濃度が高いところがあったのか、と思われがちです。実際、ひょっとするとそういうことがあるのかもしれませんが、私はその可能性は低いと思います。
喜多方の例で報道をよく調べてみると、どうもこういうことのようです。
前年の秋に収穫された水稲のワラを酪農家は牛のエサとして使うのですが、通常はその秋のうちに田んぼで天日に干してから集めて、雨が当たらないように保管します。よく白いビニールにラップされた巨大な酒樽のような状態になっているものを見たことがあるかと思いますが、あのように機械で丸めてしまうのが一般的です。でも会津では秋は雨が多いからか機械で丸めないで、ワラを束ねたまま保管するところが多いようです
どちらの方法でも、よく干してからでないと保管中に水分で腐って(発酵)してしまうので、とにかくカラカラに乾燥させる必要があります。束ねたままで保管する場合は、稲をコンバインで刈り取る際、通常の農家がやるようにワラを細断してしまわず、長いままでヒモで縛って束ねていきます(もちろんこの作業は機械がやります)。コンバインの通った跡には、昔の稲刈りのように束ねた稲ワラが、田んぼにたくさん転がった状態になるわけです。田んぼに転がったままではワラは乾かないので、4束を1組にして縄で縛って4本足で立たせるようにします(この作業は人の手)。
こうして立てておいて乾いたら晴天の日に取り込んで仕舞っておくわけです。
ところが、昨年秋は雨が続き、乾燥しきらないうちに雪が降ってしまいました。4本足は雪の下で越冬しました。3月に放射性物質が喜多方にもうっすらと降ってきました。雪が解けて、ワラが乾いたところで、酪農家はそのワラを回収して牛に与えた、ということのようです。
稲ワラに降った放射性物質は量的にはうっすらだったのですが、干してあったすべてのワラに付着したので、集められたワラには結果的に規制値を超える量のセシウムが検出されたのです。これが、もし秋のうちに集められて山積みになっていれば、例え屋外に野ざらしになっていても、その山の表面だけがうっすら汚染されるだけで、ワラ全体としてはそれほどの高濃度汚染にはならなかったはずです。白いビニールでラップされていれば、なおさら汚染などなかったはずです。
多くの報道では冬の間田んぼで「保管されていた」ワラが汚染された、と表現していたので、普通のひとはこのビニールラップされた状態のものが汚染されたのかと勘違いするでしょう(実際、そのラップされたワラがテレビの映像に出てくるので、なおさらそう思い込んでしまう)。この状態のものが規制値を超えるほど汚染されることなど、ものすごい量の放射能が飛んでこないとあり得ないのです。実際は田んぼで「薄く広げられて野ざらしにされていた」と表現するのが正しいのです。

このように、うっすらと汚染されたものを1カ所に集めたら放射能の濃度が高くなるという原理は、5月に近所の人に放射線の計測器でうちの周りを測ってもらったときに知ったことです。震災後に落ち葉を集めて堆肥にしようとしたところ、その堆肥から高い放射線がでていたそうです。それを聞いて、昨秋のうちに山積みにして野ざらしにした我が家のワラの堆肥を測ってもらったのですが、ここからは高い放射線はでていませんでした。また今年一番に刈った草をまとめておいたところから高い放射線がでていました。
この結果をみて、私は例年のように刈り草を集めて堆肥にしたり、畑に敷いたりすることはせず、積んでいたワラで代用することにしました。

汚染ワラを使ってしまった酪農家には気の毒ですが、もしこのような原理を知っていれば、国や県からの注意喚起の文書をみていなくても、あるいは防げたかもしれません。そしてこれほどまでに稲ワラが悪者扱いになることもなかったはずです。この事件が起こったことで、会津の多くの米農家は水稲そのものが汚染されていると疑われかねないと、収穫を前にとても心配しているのです。

このように低濃度汚染されたものが集積されて害を及ぼすことは、牛のえさのワラだけなのでしょうか。
春一番の刈り草をせっせと堆肥にしている農家を今年もよく見かけました。子供たちが通う保育所の草刈りをしたとき、その刈り草を堆肥にするといって大事に持って帰った方もいました。
刈り草をただ捨てるのではなく、活用すること自体はとてもいいことなのですが、今回の事故後に限ってはその善行がかえってアダになることもあり得ます。ここ会津は比較的汚染が低いと言われており、油断している人も多いのですが、まだあちこちに落とし穴があるような気がしてなりません。
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Author:nekomimi
2001年夏に東京の会社を辞め、農業を中心とする生活をするため福島県会津地方へ移住。
連れ合いと3人の息子、犬のもも、ネコのリンと賑やかな田舎暮らしをしています。

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